中華料理 ”来々”。

叙述トリックって,最初に叙述トリックであると教えてしまうと 一気に鮮度が落ちるよね。こんにちは,ゆかしです。


高校生の頃,しばしば通っていた中華料理店があった。名前は中華・来々
初めてその名を見た時,「ベタな名前」と思ったものだ。


中華料理店,というより定食屋と云った感じの,何処にでもある様な こじんまりとした店だった。
家から高校までの通い道にあった事,そして何より 定食の値段が安かった事から,時折その店に顔を出すようになった。


そしてそんな理由だから,高校を卒業してからは縁遠くなっていった。


卒業から10年近く経ったある日,やおら来々の事を思い出し,食べたくなった。
店はまだあるだろうか? 潰れていてもおかしくない。そんな事を考えながら,自転車を走らせる。果たして到着,店はちゃんと営業をしていた。昔と何も変わっていない。


久しぶりに,懐かしい少し低い椅子に座り,480円の定食を注文する。
食べている最中,店の電話が鳴った。店主が受話器をとる。


「はいっ,中華”くるくる”です!」


「えぇっ!?」